黄昏野

セミリタイアの日々を綴っています。

役職定年地獄

60歳定年再雇用どころか
地獄の55歳役職定年。

定年まで5年もあるのに
元部下からのいじめで追い込まれ退職。

突然の豹変に戸惑う月曜日。
その日の朝礼でヒラ社員になったことを自覚する。

いつもの癖が抜けず、上司になった10歳下のAをA君と呼んだ。
3日前までは部下だったんだからしょうがないと言えばしょうがない。

しかし、その言葉で事務所の空気は凍りつくことになる。

「Bさん、君づけはやめて下さい。
今日からは役職名で呼んでもらわないと示しがつきません!」

いきなりだった。
あれほど従順だったAの豹変に心底腹が立った。しかしこれが組織というものだ。
自分にはまだ住宅ローンや子供の教育費が残ってる。
老後の貯金も心もとない。

再雇用も含めてあと10年が途方もなく長く感じた。このまま屈辱の中で我慢し生きていけるだろうか?
かと言ってこの年齢での転職は金銭上考えられない。実際同じ会社でずっと勤めて来たから外で通用する能力などない。

Bは追い詰められた。
会社ではAからの叱責が続く。

「こんな簡単なこともできないの?」
「頭悪いのに給料だけもらって申し訳ないと思わない?」

自分が上司だった頃に苦手で面倒なパソコンの処理を全部Aに任せてた。
Bが出来ないのをわかってて上司の権限で命令してくるのはもはやいじめだった。

たぶん今まで腹の底でAは自分をバカにし、恨んでもいたんだろう。
背面服従を続け、今復讐してるのだとBは思った。

しかし時すでに遅し。
Bに居場所はなく、家庭から金銭的圧力も強い。自分は何のために生きてるんだろうと自殺さえ考えるようになった。

こうなるともはや鬱である。
仕事どころではない。会社に行くことができなくなり、休職。
そして復帰するのが怖くなり退職することになった。
役職定年からわずか半年後のことである。

収入が途絶え、多額の借金だけが残る。
子供が生まれてから一度も働かず専業主婦を続けてきた妻は今さら働く気もなくBを罵る。

仕事も家庭も崩壊し、お金も無くなった。
側から見れば幸せを絵に描いたような家に見えただろうが、そんなものは簡単に崩れる。

いい会社に入り出世し、結婚し、子どもを作り、そうじゃない連中を見下してきたけど
見下してきた連中以下の存在に堕ちてしまった。